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  • 健康管理は経営課題/第1回会員例会、秋田大学の近藤理事が講演

    令和2(2020)年8月6日 掲載
    令和2(2020)年8月6日 更新

     本年度の第1回会員例会が7月9日、秋田ビューホテルで開かれ、会員40人が出席、秋田大学理事・総括副学長の近藤克幸氏が「いま求められる健康経営 ―アフター/ポストコロナに向けて―」と題して講演した。近藤理事は「従業員の健康増進が企業の持続的成長、業績の向上にもつながる。労働人口の減少が進む現状では、従業員の健康管理を経営課題の一つとしてとらえ、会社の生産性向上を目指すための経営手法が欠かせない」などと訴えた。
     講演に先立ち、担当理事の湊屋隆夫副代表幹事が「このところ参加する会議の出席はどこも以前より多い。人間はいかに活動することを欲しているかが分かる。先ほど景気回復と観光業の行方に関するレポートをみていた。コロナショック前とショック後を比較したものだが、人の動きが増えているのは全国で秋田と青森、山形の3県だけ。その中で秋田は+5%でトップ、青森と山形は1%前後だった。ちなみに全国の平均値はマイナス10%前後。少しは気持ちが明るくなる話題と思い紹介した」、また田口清光地域開発委員長が「地域開発委員会では長年、主要な取り組みの一つとして健康経営に取り組んでいる。委員会には秋田大学の山本学長も所属しており、ビジネスマン健康達人講座などの取り組みは秋田大学医学部と直結しているという自負もある。経済同友会の会員社はもとより、それ以外の企業にも健康経営が広がるようにしたい」とあいさつした。
     講演の主な内容は次の通り。

    ★コロナウイルスのはなし ~できることは気をつけよう~

    講演する近藤克幸氏

     コロナウイルスは風邪の原因として以前からあるものだが、SARSやMERS、そして今感染が拡がっているCOVID-19は従来のコロナウイルスとは異なる新たな型で、何が恐ろしいかというと▽無症状や軽症患者が多いものの、重症化すると極めて激しい症状になる▽元気な人でも数時間で急速に悪化することがある▽感染力が非常に強く、発症前でも感染する▽まだワクチンや治療薬など薬がない―などが挙げられる。
     感染の拡大を防ぐためには、▽3密を避け▽会話の際はマスクをし▽会食などの際に気を付け、さらに接触感染に対して▽よく手を洗い▽スマホにも気を付ける―など。コロナウイルスにはエンベロープ(脂質の膜)があり、アルコールやせっけんはこれを溶かすので効果的。せっけんを使った丁寧な手洗いが重要だ。エタノールは70~80%で強い効力を発揮するが、50%未満では効果を期待できないので注意が必要だ。
    ★健康と高齢化と秋田県
     平均寿命や健康寿命の国際比較では日本は上位。ただ、高齢化が進んでおり、秋田はその最先端。
     秋田県の人口は昭和31年の135万人をピークに、今年6月は95万5000人。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」によると、2045年には60万2000人まで減少すると予測されている。これに伴い、全国人口に占める県別人口の割合は2045年には0.6まで落ち込む。2045年には10-14歳人口の割合も7.4と落ちこむ一方、65歳以上人口の割合は50.1%と半数を超える。まさに、秋田県は人口減少率、高齢化率とも日本一。このため、秋田県の地域活性化では高齢者が果たす役割が大きい。高齢者が元気に活躍できる社会を築くには、高齢者特有の疾病への対応と高齢者の健康管理をいかに行うかがカギとなる。
    ★健康経営について
     国民の三大死因はがん、心疾患、脳血管疾患(2018年から老衰)。これに加え、かつて成人病と呼ばれた、糖尿病や高血圧、脂質異常など生活習慣病の対策が欠かせない。
     従業員の健康関連コストでは、企業が直接的に目に触れるのは医療費負担だが、実際に多大な損失となっているのは「プレゼンティーズム(疾病就業)」。これは、出勤しているものの何らかの健康問題を抱えて業務能率が落ちている状態のことで、メンタルヘルスに加え、アレルギーや偏頭痛、生活習慣病などによる業務能率の低下についても数多くの研究がなされている。企業は実際に発生する医療費だけではなく、プレゼンティーズムを含んだ健康関連コスト全体に目を向ける必要がある。
     健康経営とは、働く人の健康と生産性の両方を同時にマネジメントしていくこと。直接的には従業員の健康維持・回復を図り、医療費の負担削減や業務の回転アップを目指すことであり、間接的には従業員のモチベーションアップや企業のイメージアップにより良い人材を確保して好循環につなげること。ちなみに、若者が仕事を選ぶとき、10年前に比べて現在は、仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を優先する割合が増え、70%超が転職を容認している。つまり、働きやすい環境でなければ容易に転職を考える時代になっている。
     一方、長期疾病休業に至った原因について、男性では若年層は精神疾患が多いが、50代から新生物が増加し60代で最多となっている。女性は20~40代では精神疾患が最多だが30代以降は過半数に満たない。20~30代では妊娠関連もあり、40代からは新生物が増加し50代以降では最多となっている。
     従業員の健康管理として必要なのは▽健診受診率の向上▽健診結果のフォローアップ▽生活習慣の把握と改善▽ストレスの状況把握と改善▽アブセンティーズム対応▽プレゼンティーズムの把握と対応▽職場環境の改善―など。
     メンタルヘルスによる求職者は20~30代、情報通信業で、圧倒的に多い傾向がある。
     そして、メンタルヘルスによる休職者が多い企業は、短期では労働生産性が高いものの、利益率は年を追うに連れ低下していると言うデータがある。すなわち、過酷な労働条件が短期的に生産性を上げたものの、職場環境の悪化が利益率を押し下げていく可能性がある。これは、当事者が抱える問題はもちろん、周囲に休職には至らない従業員が数多く存在する可能性も危惧される。

    第1回会員例会


    ★いま世の中で起きていること→従業員の健康維持のためにしていること
     いま、企業は働き方改革と職場でのコロナ対策が求められている。具体的には、残業時間規制の強化や有給休暇の取得義務化などに加え、コロナ対策でマスクの配布やアルコ-ル設置、仕切り板の設置などの就業環境改善にも対応している。これらはいずれも、従業員の健康維持のためと言える。この際、管理職の役割が重要。すなわち、部下にとって頼りになる上司であることはもちろん、部門の統括的立場として▽仕事量の割り振りや残業の管理▽メンタルヘルスなどの健康面▽ハラスメント対応―など部下の労務管理を適切に行う必要がある。
     どこの職場でも、流れに任せていれば仕事は増える傾向にあり、どのようにして仕事を減らすのかも常に考えなければならない。しかしそれは、担当している当事者だけでは判断できないし、判断してはならないことが多い。つまり、仕事を減らしたり、分担を変えたりできるのは上司だけだと考えてほしい。だからこそ、現場を知っている管理職の健康経営への理解が重要になる。
    ★アフター/ポストコロナ
     ▽衛生管理の充実▽テレワークの普及▽デジタル化の強力な推進▽移動や人との接触の制約―の対応が取られており、どこまでがアフター/ポストコロナのニューノーマルとなるのか現時点では見通すことができないが、考えておかなければならない。
     コロナ禍での働き方の問題点として、従業員への意思伝達や部署間の連携に問題が生じたと言う意見のほか、ストレスを抱える従業員が増えたという調査結果もある。急速に進むテレワークにより、肩こりや精神的なストレス、腰痛などを訴えている従業員が多く、肩こりやストレスでは、重度の不調と感じている人が4割に及んでいる。今後,テレワークやデジタル化が進むことは間違いなく、メンタルヘルスによる休職者の多い情報通信業と就業環境が似通ってくる可能性があり、これまで以上に従業員の健康管理,健康経営に向けた視点が重要となるだろう。
    ★健康経営・健康投資とは
     健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に収益性を高める投資であるとの考えのもと、健康管理を経営的視点から考え戦略的に実践することであり、健康投資とは健康経営の考え方に基づいた具体的な取り組み。企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性向上など組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へつながることが期待される。
     高齢でも健康を維持できるためには職場の支え、健康経営が求められている。

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