代表幹事ご挨拶

「代表幹事・佐川博之」の写真
秋田経済同友会
代表幹事・佐川 博之

 秋田経済同友会は、県内の経営者が一企業や特定業界の枠組みを超え、個人として参加している経済団体です。財政面で独立しており、何者にも縛られない自由闊達な議論の場を設けているのが最大の特長です。

 1994年(平成6年)の発足で、2024年(令和6年)は創立30周年の節目を迎えます。「しなやかな考察」と「果敢な行動」をモットーに、変化の激しい時代における経済社会の諸課題について考察を深め、地域活性化に向けた政策提言を行うことを活動の柱にしています。

 日常活動のベースとなる各委員会は、時宜を得たテーマの調査・研究に努めており、2022年度は「外国人労働者の受け入れ」や「再生可能エネルギーの現状と課題」、「ローカル5Gの取り組み」などについての勉強会を開催しました。

 秋田経済同友会は秋田県の持続可能性を語る上で欠かせない最重要課題に、人口減少対策を位置づけています。少子化と高齢化が全国最速で進む本県では、労働力不足が深刻化し、地域の活力の衰退が顕著です。

 当会では、人口減少を食い止めるための施策とともに、人口が減る中にあっても豊かな地域社会を築くにはどうするべきか、といった両面からのアプローチを試み、政策提言を目指しているところです。

 総務企画委員会は、シンクタンクなどとも連携して、若者の定着をはじめ、女性やシニア活躍のための調査研究を行うほか、国際活動委員会では、生産年齢人口の低下に歯止めをかけるために、外国人労働者の受け入れの可能性を模索しています。地域と農業を考える委員会は、農業現場での人手不足解消のため、5GやAIを活用した農業のデジタル化推進に向けた議論を積み重ねています。

 創立30周年に向けて、「しなやかな考察」を持ち味にする経済団体ならではの、建設的な提言を打ち出すべく、議論を加速していきたいと考えております。

 秋田県沖では、国内の先陣を切って洋上風力発電事業が進行中です。地元企業がサプライチェーンにしっかりと組み込まれていくことと、地元で生産された再生可能エネルギーを地場の産業振興にどうつなげていくのかという、先に私どもが公表した提言の実現に強い関心を持っております。

 「歴史は繰り返す」とは言いますが、パンデミックや世界秩序を大きく揺るがす戦争など、そうたやすくは起こりえないだろうと考えていた出来事がここ数年来で現実のものとなり、世界は今、混迷状態にあります。

 その一方、私たちが歴史的災禍に直面している間にも技術革新は歩みを止めません。最近では対話型人工知能である「チャットGPT」をはじめとした生成AIが登場し、人手不足への対応など労働生産性の向上に期待が集まる一方で、偽情報の流通や著作権侵害などのリスクの大きさも取り沙汰されています。AIが社会課題解決の切り札となるのか、社会を混乱させるツールとなるのか、期待と不安が入り混じる中にあって、普及の流れは急速に拡大しています。

 時代は今、大変大きな転換期に差し掛かっています。そんな時代の行く末を見極め、時流に乗っていけるのかどうか。今こそ、企業経営者たちが特定業界を越えて連携し、人知を尽くすわれわれ経済同友会の出番であります。全国各地の経済同友会とより連携を深め、情報交換を密にしながら、会員とも最新の情報を共有していきたいと考えております。

 また、組織をより強固なものとするため、秋田市とその周辺に偏りがちな会員構成を全県規模に広げるとともに、女性活躍の推進を標榜する団体らしく、女性会員の増強策も積極的に進めてまいります。

(2023年5月30日、通常会員総会挨拶から)

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