【観光振興委員会 第2回スタジアム小委員会】
(12月18日、料亭濱乃家)
委員10人が出席。由利本荘市が設置し、ミズノが指定管理者として運営している「ナイスアリーナ」について、九嶋敏明副市長が建設経緯とその利活用などを説明したほか、委員からの質問等に答えた。
はじめに、スタジアム小委員会の加藤俊介座長が「スタジアム建設について、基本は2017年12月に提出した提言に沿うが、首長選が終わるまでは、いろいろ勉強し小委員会としての方針を固め、提言や質問書を出すときに備えたい」とあいさつ。引き続き、九嶋副市長が講演した。主な内容は次の通り。
ナイスアリーナは2018年10月1日に開業。スポーツやコンサートなどのイベントでは最大5千人を収容できるアリーナとして機能するほか、災害時には一時避難所として2万人、避難所として3千人を収容する避難所として活用される。
2003年12月、国立療養所秋田病院の廃止に伴い、厚生労働省と秋田県、旧本荘市が跡地利用を協議、「スポーツ」「防災」「民間福祉」の3分野による活用方針が決まった。2005年3月に旧本荘市土地開発公社が先行取得したものの、跡地利用が具体化せず、雪捨て場としてのみの利用が続いた。2013年、「すべての市民が安心・安全・快適に利用できる複合型拠点施設の創出」を基本理念とした基本計画を策定。2015年に「由利本荘総合防災公園」建設工事として着工、2018年6月にアリーナ棟と屋根付きグラウンドが完成。今年3月に外構も完成し、全工事が完了した。防災公園を兼ねているので総工費は約130億円、建物そのものは約108億円。合併特例債や国補助、市の一般財源、財産区からの寄付などを充当した。民間からの寄付はなかった。
指定管理者は2017年に公募、申請書を提出した4団体からミズノグループに決定した。評価の基準は▽市民の平等利用の確保▽市民に対するサービスの向上▽公の施設の設置目的の効果的な達成―など。ミズノはスポーツ愛好者の底辺づくりがうまい。なお、指定管理者の収益については、利用料金収入の増加や経費の節減など、指定管理者の経営努力により生み出された利益は、基本的には指定管理者の収入とするが、収支計画を上回る利益があった場合には市に還元するキックバックがある。サッカースタジアム運営の参考になるのではないか。
さらに、▽宿泊室のベッドが大型選手には小さかった▽センタービジョンを広告などで有効利用していない▽センタービジョン設置で天井の高さが下がってしまった▽サブグラウンドに窓がない▽興行を考えれば、ワイヤーを張ることができないし、音響機材が入らない―など完成後の問題点も紹介した。
引き続き、質疑応答に移った。主な内容は以下の通り。
〇防災拠点の色を出したことのメリットはあったか。
<特になし。ただし、事業認可の際は有利になったのではないか>
〇収容人数の年間15万人の根拠は?
<特にないが、いわき道の駅の入場者が年間15万人程度>
〇市の関わりは?
<市が指定管理料を払い、ミズノが管理、運営を担当。スポーツ大会等イベントの営業は市の担当>
〇市にもたらす経済効果を検討したのか
<検討したが、具体的な数字はなかった。病院の跡地利用が先行した>
〇収支は?
<ミズノは1年目まずまずだったようだが、2年目はコロナ禍があり見通しが立たないようだ。また、由利本荘市の商店が入ってこないので物販が少ない。常時イベントがあるわけではないので、事業者としては魅力がないという>
〇石脇地区にあることについて
<旧市内の人は「遠い場所」というが、病院跡地の活用でありここしかなかった>