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  • 地域商社の取り組みを紹介/「詩の国秋田」伊藤社長が講演

     令和3年度の第1回地域と農業を考える委員会・会員例会が令和3年7月26日、秋田ホテルで開かれ、会員37人が出席した。会員例会では、地域商社「詩の国秋田」の伊藤晋宏社長が「『詩の国秋田』」の取り組み」と題して、県産品の国内外への販路拡大に向け、マーケティングやブランド構築などに取り組む状況を紹介した。

     涌井徹委員長が「これまでにない多くの会員に出席いただきありがとうございます。秋田銀行から出向している講師の伊藤社長とは東京ビジネスサポートセンターに勤務していた一昨年、何回か一緒に農水省を訪ねたことがあり、優秀な行員だと感じていた。将来を嘱望されている伊藤社長の講演をじっくり聞きたい」とあいさつ。引き続き伊藤社長の講演に移った。講演の主な内容は次の通り。

    講演する「詩の国秋田」の伊藤晋宏氏
    講演する「詩の国秋田」の伊藤晋宏氏

    1.会社概要
      農水産業・食品および伝統工芸等を事業領域と
     し、産業強化・育成および生産波及効果の獲得に
     よる産業振興を図り、国内外への販路開拓を目指
     す地域商社として今年4月1日に設立した。所在
     地は秋田市山王の秋田銀行本店2階。
      資本金は9000万円で、株主は秋田銀行と台
     湾の中國信託創業投資公司。地域とともに新たな
     価値を共創するブランディングに取り組み、地域
     経済の成長および地域の持続可能性の向上を図る
     ことを目的とする。
    2.事業概要
      事業者は営業力やマーケティング力、商品開発
     力、デザイン力、プロモーション力などの課題を
     抱えており、自社単独で担当者を置くことができ
     ない。これを支援するとともに“商流”に関する課題へのソリューションサービスを提供
     する。
      詩の国秋田は、具体的には▽マーケティング事業▽ブランディング事業▽プロモー
     ション事業▽国内販路開拓事業・海外販路開拓事業▽EC事業―のサービスを提供す
     る。
    3.マーケティング事業
      市場動向および実需者ニーズに関するリサーチ、ならびに当該リサーチに基づくマー
     ケティング機能を提供し、県内事業者による付加価値の高い生産活動の実現を目指す。
     具体的にはバイヤーなどへのアンケートやヒアリングを行い、ニーズを踏まえたレポー
     トを提供する。
    4.ブランディング事業
      事業者の理念や商品・サービス価値の分析からブランディング戦略の策定、デザイン
     ・商品開発を支援する。当社社員である銀行員だけでは難しい専門領域はクリエーター
     と連携する。

    第1回地域と農業を考える委員会・会員例会
    第1回地域と農業を考える委員会・会員例会

    5.プロモーション事業
      SNSを活用するなど、効果的な情報発信で購買意欲を呼び起こすと同時に、市場で
     の認知度拡大を図ることで販路開拓やブランディングを促進する。
    6.国内販路開拓事業
      事業者に代わって継続的な営業活動を行い、事業者の販路拡大を行う。秋田銀行の東
     京ビジネスサポートセンターはもちろん、県東京事務所や首都圏のアンテナショップな
     どとも連携する。
    7.海外販路開拓事業
      台湾を中心に考えている。秋田銀行台北事務所を拠点に中國信託ホールディングと連
     携して、海外におけるマーケティング、販路開拓、プロモーション、輸出入支援等を行
     う。
      現時点では、輸送コストに課題を感じている。
    8.EC事業(令和3年10月事業開始予定)
      商品や事業者、地域のストーリーを盛り込み、ブランド価値を高めながら広く発信で
     きる“メディアECサイト”で個人向け販売を行う。
    9.取り組み事例
     (1)県内事業者に直接訪問し、商品内容・ストーリーをヒアリングしたうえで、県外
       バイヤーに営業活動を展開し、販路拡大を図っている。
        県内企業の県外新店舗へ県内作家の工芸品、首都圏のレストランに食材、秋田銀
       行の県外取引先へ県産品を出荷している。
     (2)台湾産のマンゴーを当社で輸入し、県内の道の駅で販売した。輸出入を通じて、
       屏東県と本県の相互交流を図っていく。
     (3)事業者訪問や販売活動をFacebookに投稿し、県産品の魅力を発信している。

     講演後、会員からは「アメリカも視野に入れていないのか」「秋田銀行の取引先の海外支店と連携しマーケットを広げてはどうか」などの質問が出て、伊藤社長は「アメリカは魅力あるマーケットだが、スタッフは5人。現状では台湾、東南アジアの取り引きを進めている」「海外支店との連携は優れた県産品の市場開拓に結び付くだろう」などと答えていた。

     伊藤社長の講演に続き、7月21日に落成式が行われた「ジャパン・パックライス秋
    田無菌米飯工場」について、同社社長の涌井徹委員長が説明した。

    ジャパン・パックライス秋田 涌井徹社長
    涌井徹委員長

    ※メモ
     ジャパン・パックライス秋田(涌井徹社長)には大潟村あきたこまち生産者協会や秋田銀行などが出資。完成した工場では、コメの消費が減少する中で需要が伸びているパックご飯市場に参入し、県産米を中心としたコメの消費拡大を狙う。スーパーなどのプライベートブランド商品の受注に加え、台湾や香港、シンガポールへの輸出を想定している。パックご飯工場の開設は県内初。
                   (文責:事務局)

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