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    外国人労働者、県内定着に向け環境整備を ~ 秋田を第二の古里に
    国際教養大 堀井准教授が講演

    講演する堀井里子准教授
    講演する堀井里子准教授

     秋田経済同友会は2月7日、秋田市の秋田キャッスルホテルで2022年度第5回会員例会を開き、国際教養大学の堀井里子准教授(政治学)が、外国人労働者の受け入れをテーマに講演した。外国人就労者が増え、外国人を雇用する事業所も急増している現状を紹介。「受け入れるか否か」ではなく、「どのように受け入れるか」を考える局面にあると指摘し、「秋田を第二の古里と受け止めてもらえるような環境整備」の必要性を訴えた。
     堀井准教授は1981年、秋田市生まれ。東北大学を卒業後、在メキシコ日本大使館に勤務。一橋大学と英国オックスフォード大学の修士課程を修了し、英国サセックス大学で博士号を取得。2013年から国際教養大学で教鞭をとっている。欧州連合の移民・難民・出入国管理政策を研究し、本県における外国人住民の起業などの研究にも取り組んでいる。
     堀井准教授は、国内の外国人労働者が2021年10月末時点で172万人に上り、10年前の68万人から2・5倍に増加したと説明。東南アジアからの技能実習生や留学生のアルバイトなどの増加が顕著で、全国的な人手不足が背景にあるとした。
     県内の技能実習生も急増しており、2019年には1349人となって、永住者の数を初めて上回ったと紹介。「外国人労働者の受け入れ・定着をいかに進めるかについて、将来あるべき社会像の中で議論すべき時にきている」と述べた。

    会員50人が聴講した第5回会員例会
    会員50人が聴講した第5回会員例会

     また、戦後日本の外国人受け入れ政策について「移民政策を否定しながら、労働力不足に対応するために例外的に受け入れ、門戸を広げてきた」と制度改正の変遷をひも解き、技能実習生の人権上の問題や外国人住民として生活していく上での差別などさまざまな課題が横たわっていると指摘した。
     外国人労働者の県内定着を図る方策として、日本語教育の支援や、県内大学に通う留学生の就職支援が重要だとし、「ホストである本県の社会が変わっていく必要がある。多くの外国人が秋田を『第二の古里』と言ってくれるような社会になればいい」と語った。最後に「われわれは労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」という移民国家スイスの作家マックス・フリッシュの言葉(1965年)を引用し、「モノでも材でもサービスでもない、同じ『人』だという視点を忘れてはならない」と締めくくった。
     例会には会員50人が出席。講演に先立って、例会を企画した国際活動委員会の後藤敬太委員長が挨拶した。

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