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  • 道路整備の効果最大化へ一丸/秋田河川国道事務所長が講演

     秋田経済同友会は8月2日、2023年度第3回会員例会を開き、国土交通省秋田河川国道事務所の松本章所長が「道路を取り巻く最近の話題」と題して講演した。東北中央自動車道や日本海沿岸東北自動車道の整備によって製造業の物流が円滑になっている事例を紹介。地元の行政や経済団体、道路管理者が、道路をいかに活用していくか議論して道路整備の効果を最大化することの重要性を訴えた。

    講演する松本章氏
    講演する松本章氏

     松本所長は、道路関係予算の概要とともに、道路整備を進める際の国の基本方針を紹介した。自然災害が近年、激甚化・頻発化していることに備え、「防災・減災、国土強靭化」の取り組みを加速していることを強調。「大雨や大雪が予想される場合は気象庁と連携して緊急発表を行い、出控えや広域迂回などの行動変容を促す取り組みを強化している」と述べた。また、大雪で車が立ち往生する事態を避けて予防的に通行止めにした事例を紹介。「予防的に通行止めにすると、その後の集中除雪が円滑になり、結果として社会経済活動への影響を最小化することができる」と述べた。また、国道の維持修繕予算が15年前の1.7倍に増えている点を挙げ、「橋やトンネルなどの老朽化が深刻な問題となっている。予防保全の考え方を取り入れ、中長期的なトータルコストの縮減を図っている」とした。

     
     道路整備の効果に関連しては、秋田、山形両県の自動車関連企業の事例を紹介した。山形県の新庄中核工業団地に立地するA社は関東方面から輸送された原材料を元に自動車パーツ部品を製造し、東北中央自動車道と国道13号を利用して横手市のB社に届け、B社はこれを使って組み立てたパーツを関東の自動車メーカーに納めている。企業からは「東北中央道の整備が進んで物流が増えた。秋田山形県境の未開通部分(約11km)が解消されて全線開通すれば、雪による通行止めや到着遅れが少なくなり、トラック輸送の時間とコストの圧縮につながり、さらなる経済効果が期待される」といった声があることを紹介した。併せて、未開通部分の解消によって秋田、山形、福島の広域周遊観光ルートの形成が期待されることも指摘。「地元と道路管理者が一体となって道路の活用方法を議論し、企業誘致の促進や観光客の増加につなげていくことが重要」と述べた。

     一方、7月15日からの大雨への対応に関しても言及。大雨のたびに内水氾濫を起こしている秋田市の「古川」における対応について「雄物川の水位が上がったため、水門を閉鎖して、古川への逆流を防いだ。水門近くの堤防には排水ポンプ車3台(うち1台は秋田市所有)を出動させて古川の水を雄物川に排出。これにより古川の内水氾濫被害を一定程度抑えることができた」と述べた。また、2017年7月の豪雨災害の後から復旧工事を続けている秋田市雄和の堤防未完成箇所では、事前に大型土のうを設置したことを紹介。「土のうの内と外で約50センチの水位差をつくることができ、周辺家屋の浸水被害を回避することができた」と話した。その上で「雄物川本流の氾濫が回避できたため、秋田河川国道事務所の職員延べ111人を県や秋田市、五城目町など6市町に派遣して現地の状況把握など支援に回ることができた」と振り返った。

     松本所長は昭和47年、仙北市田沢湖町生まれ。日本大学大学院理工学研究科を修了し、国土交通省入り。東北地方整備局道路部道路管理課課長補佐や国土交通省道路局環境安全防災課道路防災対策室課長補佐などを経て今年4月に秋田河川国道事務所長を務めている。
     講演に先立って、例会を主管した道路整備促進委員会担当理事の斉藤永吉代表幹事が挨拶。会員40人が聴講した。

    第3回会員例会
    第3回会員例会

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