若年層の県内定着/奨学金返済の支援強化へ/官民で検討
秋田経済同友会は12月1日、第17回佐竹知事との朝食懇談会をANAクラウンプラザホテル秋田で開き、「人口減少への対応」や「クマ対策」などをテーマに意見交換した。県からは佐竹敬久知事と佐藤功一産業労働部次長が出席。会員は40人が出席した。佐川博之代表幹事が冒頭の挨拶で、四国の料理をけなす発言をした佐竹知事に苦言を呈した。これを受けて佐竹知事は「大変失礼なことを言った。皆さまを不快にさせ、申し訳ない」と陳謝した。
引き続き、広報交流委員会の栗谷卓臣副委員長が質問に立ち、「県内で急速に進む人口減少の一因として若い女性の県外流出が挙げられる。これに対応するために県が重点的に取り組む施策を聞かせてほしい」と尋ねた。
佐竹知事は、日本の人口について「日本が諸外国から安い原料を輸入して付加価値をつけて輸出していた頃と異なり、諸外国は今、自ら付加価値の高い商品を作って輸出している。日本の現在の資源量に見合う適正人口は6千万人から8千万人とも指摘されている。大事なことは、高齢者と若年者のバランスが取れているかだ」との認識を示した。その上で「大学や専門学校に進学するため、本県を離れる年間5千人の若者をどうするかを考えなければならない。最近は半数以上の学生が奨学金を借りており、その額は300万から400万円に上る。この返済をサポートして県内回帰につなげることも一つの方策」などと述べた。
これに関連して並木里也子会員が「奨学金の返済支援内容」について関連質問。佐竹知事は「学生の採用を目指す県内企業と協議しながら県として今後、支援の拡充を図りたい」と答えた。
一方、クマによる人的被害が多発している現状を受けて小野泰太郎常任幹事は「県民の安全を守る警察官の任務拡大を考えてはどうか。銃使用には制約が多く、警察法の緩和に向けて官民で取り組む考えはないか」と質問。佐竹知事は「猟銃と違って警察官が携帯する短銃でクマを駆除することは困難。警察官の銃使用の緩和はハードルが高いものの、麻酔銃の配備は県として進めている。クマ被害は深刻で、踏み込んだ対策を国に提言し続けていく」と答えた。
また、斉藤永吉代表幹事は「洋上風力発電施設の整備が進む中、これらの施設を観光振興の起爆剤にしよう」と提案した。佐竹知事は「風力発電施設を寒風山の展望から眺めたり、風車を遊覧船から眺めたりすることもいい」と述べ、共通の認識であることを示した。