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  • 外国人材どう受け入れる/日本語教育の重要性を指摘/教養大・伊東教授

     秋田経済同友会は7月31日、秋田市のANAクラウンプラザホテル秋田で会員例会を開き、国際教養大学専門職大学院の伊東祐郎特命教授(日本語教育学)が「外国人材受け入れの現実と課題-企業が知っておくべき日本語教育の最前線」と題して講演した。入管法の改正(1990年)から、日本語教育推進法の施行(2019年)に至るまでの外国人政策の変遷を紹介しながら、居住外国人の増加によって顕在化した「異文化接触に伴う諸問題」の背景を解説。解決するためには、「外国人の居場所をつくることが大切で、間を取り持つコーディネーターの役割が重要になる」と指摘した。

    講演する伊東祐郎氏
    講演する伊東祐郎特命教授

     グローバル化が進む日本の現状について「労働力ではなく、生活者としての外国人が急増している。留学や駐在などの短期滞在者とは異なり、一緒に訪れる家族の福祉や医療、教育などを含めた社会の構成員として受け入れる必要性が高まっている」との認識を示した。また、「日本語教育の推進」や「居住外国人の社会参画支援」は地方自治体に課された責務ではあるものの、「まだ新しい領域で、予算や人材面で限りがある」とし、「外国人を受け入れた企業や県民も連携して多文化共生社会をつくっていくことが重要」と呼びかけた。

     外国人を受け入れる上での課題には「制度的要因」と「心理的要因」があると指摘。制度的な課題の一つとして、「在留する形によってさまざまな省庁が関係し、それぞれは奮闘しているものの、束ねる組織がないため、その縦割り行政の影響が地方自治体に及んでいる」点を挙げた。また、研修制度でありながら安い労働力を確保する手段になってきた「技能実習制度」にも触れ、「そうした問題を解決するため、長く働いてもらう制度設計に改めた育成就労制度が2027年に始まる」などと紹介した。その上で「今後は家族を帯同してくる外国人の受け入れに留意することが必要になる。経済同友会も提言していることだが、多文化共生社会の構築が人口減少社会の日本の未来を支える基盤であることを共通理解として進んでいきたい」と述べた。

    第2回会員例会
    会員例会の風景

     心理的要因については「異文化に触れる際、互いに感じる戸惑いや不安は避けられない」としつつ、柔軟な感情が持てるように住民は意識改革しなければならないと指摘した。多文化共生を進めるためには、「行政、生活情報の多言語対応」「日本語教育の推進」「留学生の地域における就職支援」などが求められるとし、特に日本語教室は「外国人と地域社会の接点となり、セーフティネットの役割を担っている。孤独になりがちな外国人に居場所を作ることが大事だ」と述べた。また、国際交流協会や外国人サポートセンターを支援しながら自治体が多文化共生施策を進めている例を挙げ、多文化共生に関する県民の意識が高まり、外国人への偏見や差別のない社会ができることを期待した。本県の取るべき対応については「群馬や愛知などに比べて居住外国人が少なく、問題は顕在化していない。だからこそ今のうち、先進事例を学んで良い点を取り入れたい」と話した。

     講演会は国際活動委員会が担当。講演に先立って後藤敬太委員長が挨拶し、会員40人が聴講した。

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