秋田経済同友会は8月7日、秋田キャッスルホテルで会員例会を開き、常任幹事で「地域と農業を考える委員会」委員長の涌井徹氏が講演した。大潟村あきたこまち生産者協会会長として先ごろまとめた構想「日本農業再生機構の設置 -国民食料の安定供給体制構築に向けて-」を紹介した。

涌井氏は、農業後継者が不足している理由について「新たに農業を始めようとしても農地の取得や農業機械の購入などで多額の初期投資が必要。収入は天候や相場に左右され、赤字になっても自己責任となる。そうした不安定で低収入な職業は、若者の職業選択肢から外れている」と指摘した。「安定して高収入が得られる産業にするためは、金融機関や農機具・肥料メーカーなどの民間企業で『日本農業再生機構』をつくり、新規就農者にリスクを負わせない仕組みづくりが必要だ」と述べた。自治体と連携して農地の集約を進める重要性にも言及した。

また、元県農林水産部長で秋田銀行チーフアドバイザーの佐藤幸盛氏が「農地集約の現状と課題」や「秋田県の新規就農支援策」について解説。「担い手農家への農地の集積は進んでいるものの、面的な集約が進まず、分散した農地で非効率な農作業をしているのが現状。担い手同士の農地の交換を進める仕組みと気運の醸成が大事だ」などと述べた。 会員例会には、40人が参加した。
