秋田経済同友会は8月22日、会員例会を秋田キャッスルホテルで開き、国土交通省秋田河川国道事務所の尾﨑精一所長が「道路を取りまく最近の話題」と題して講演した。

尾﨑所長は、道路予算の推移や道路整備を進める国の基本方針を紹介。経済成長に合わせて整備したインフラが今、一斉に老朽化している現状を報告し、予防保全の重要性を指摘した。自然災害が近年、激甚化・頻発化していることに備えて、「防災・減災、国土強靭化」の取り組みを加速させて、成果を上げていることを強調。東北中央自動車道や日本海沿岸東北自動車道の整備によって、横手市や由利本荘市では輸送機関連産業の誘致が増加している事例を紹介した。
質疑応答では、本県をはじめとする東北各県で人口減少が急速に進むと予想される中、「道路整備に十分な予算を確保できなくなるのではないか」という会員からの質問に答えて、「人口減少の原因が何かを分析することが大切。本県や東北のインフラ不足が人口減少の原因だとすれば、だからこそ、インフラを充実させなければならないと考える」などと答えた。
また、港湾畑を歩んできた尾﨑さんは、県内の港湾整備状況や国の洋上風力発電促進策についても言及。秋田港と能代港が令和2年に「基地港湾」に指定され、大きく重い風車を保管できるよう地耐力強化を進めていることや、船川港を含めた3港で、洋上風力発電設備を稼働させるために必要な運転管理や保守点検を行う「О&М事業」を進めていることなども紹介した。
尾﨑所長は1975年生まれ、山口県出身。早稲田大学大学院理工学研究科を修了し、国土交通省入り。小名浜港湾事務所長、国際臨海開発研究センター研究主幹、国際協力機構社会基盤部技術審議役などを歴任し、今年4月から秋田河川国道事務所長を務めている。
講演に先立って、例会を主管した道路整備促進委員会の石黒寿佐夫委員長が挨拶。会員35人が聴講した。
