一般社団法人・秋田経済同友会は5月27日、令和8年度通常会員総会を秋田市の秋田キャッスルホテルで開いた。7年度決算、8年度活動方針、役員選任など6議案を原案通り承認した。総会後の理事会で代表幹事に佐川博之、平野久貴の2氏を再任、フィデアホールディングス会長の伊藤新氏を新任した。

総会には会員149人のうち、122人(委任状57人含む)が出席した。佐川博之代表幹事が挨拶で「本県の子供のウエルビーイングが全国で最も高いという報道が反響を呼んでいる。文部科学省が行う全国学力テストの質問への回答を分析した結果で、うれしく思う。一方、大人を対象とした未来の希望調査では本県が全国最下位とのデータもある。幸福度日本一の子供が大人になると幸せでなくなるとも取れるこのギャップを考えることが秋田の幸福、地域の未来を考える上でカギとなりそうだ」と述べた。また、本年度、委員会を「産業にぎわい」「地域づくり」「人づくり」などに再編した経緯について触れ、「委員会名はひらがなを入れ、柔らかい表現にした。その名にふさわしく、柔軟な発想と思考で各種提言につなげていきたい」と話した。

議事は、佐川代表幹事が議長を務めて進行。7年度決算は今野邦義監事の監査報告の後、承認され、8年度活動方針案については、各委員長が提案し、予算案とともに承認された。主な活動方針は「交流人口やインバウンドの拡大の視点で観光の振興を考える」「農業従事者が減る中、米どころ秋田から国民の食料の安定確保を考える」「人口減少社会における各種インフラの在り方について考える」「本県の森林資源の価値を再確認し、有効活用を考える」「外国人労働者を含めた人材の確保策について考える」「キャリア教育の現状と課題を検討するとともに、若者の県内定着に向けた方策など人材の育成について考える」「人手不足時代に求められる企業経営(DX、AI活用など)について研究する」。また、任期満了に伴う理事、監事、常任幹事の選任を行った。常任幹事には、秋田ケーブルテレビの飯塚雅子常務とJAWA秋田の南川彰宏社長の2人を新任するなど計20人を選任した。

特別講演会は、劇作家・演出家で兵庫県立芸術文化観光専門職大学学長の平田オリザ氏(兵庫県豊岡市在住)が「本気の文化によるまちづくり」と題して講演した。平田氏は「中国や東南アジアには10億人近い中間層が生まれ、その人たちが最初に訪れる海外旅行先として、安全な日本を選んでいる。リピーターになってもらうためには、安全に加えて食べ物やスポーツを含めたコンテンツ重視の観光メニューを用意したい。お金を落としてもらうためには宿泊してもらう必要があり、夜のアミューズメントの充実は今後、日本の観光業にとって大切なテーマ」と述べ、芸術文化のジャンルのスペシャリストを養成することの重要性を指摘した。
また、市町村合併で使われなくなった町庁舎を自らが買い取って劇場に改修し、毎年9月に豊岡国際演劇祭を開催し、にぎわいづくりに貢献している事例を紹介した。世界中から大道芸人がやってきて演目を披露し、海外から招いたプロデューサーに見いだされると、ヨーロッパなどのアートフェスティバルに買い取られていく見本市のような場になっているとのことで、自らのネットワークに加えて、VIPが泊まれる城崎温泉の高級旅館から安く泊まれる民宿までそろっている点が恵まれていたという。「昨年は4万人が訪れ、開始から5年で日本最大の演劇祭になった。10年後には世界有数の国際演劇祭にすることを目指しており、着々と数値目標をクリアしている」と述べた。
その上で「日本は清潔で安全で教育が行き届いている暮らしやすい国。その国を、地方を、ただ守ろうとしているだけでは縮小してしまう。持続可能な社会にしていくためには、一人一人がリスクを取って新しいことに挑戦し、オンリーワンを作っていかなければならない。そこが今すべての地方に、地方の経済界に問われている」と締めくくった。

夕方から開かれた懇親会には、平田オリザ氏を含めて74人が出席。来賓の鈴木健太知事と秋田市の青木巌産業振興部長が祝辞を述べた。また、1月以降に入会した会員8人が一人ずつ挨拶した。開宴に際して平野久貴代表幹事が主催者代表の挨拶、新谷明弘副代表幹事が乾杯を発声。伊藤新代表幹事が中締めして盛会の中でお開きとなった。

令和8年度の役員は以下の通り(敬称略)
代表幹事 佐川博之、平野久貴(以上再任)、伊藤新(新任)
副代表幹事 新谷明弘、伊藤満、鈴木信夫、西村幸彦(以上再任)
専務理事事務局長 鹿川公利(再任)
監事 今野邦義、平野敬悦(以上再任)
常任幹事 石井広樹、石黒寿佐夫、井上さおり、大友進、小野泰太郎、小畑宏介、神成俊行、後藤敬太、佐々木創太、清水隆成、田口清光、立田聡、種村知樹、千葉利昭、藤澤正義、松田悦子、松村讓裕、涌井徹(以上再任)、飯塚雅子、南川彰宏(以上新任)