活動・お知らせ

  • 人づくり委員会
  • 会員例会
  • 球児に勇気をもらった人がいる 映画「旋風」への思いを語る 成田監督

     秋田経済同友会は6月29日、秋田市のANAクラウンプラザホテル秋田で2026年度第1回会員例会を開いた。秋田市出身の映画監督・成田洋一さん(65)が「なぜ今、金農旋風を映画にするのか~がむしゃらの先にある光」と題して講演。「2018年夏の甲子園で活躍した金農球児の活躍に勇気をもらった人々がいることを描きたい」と撮影にかける思いを語った。

    第1回会員例会 成田洋一 監督
    講演する成田洋一 監督

     成田さんは長年、テレビCМの制作に携わってきた。これまで手掛けた作品は600を数えると言い、冒頭、それらをまとめたハイライト映像を上映した。その上で「CМディレクターと映画監督は私にとってまったく異なる仕事。CМディレクターは企業の商品をヒットさせるための職人で、映画監督は自らのため、また世の中の誰かのために、信念を曲げずに撮る仕事」と述べた。

     CМ業界では名の知れた成田さんは、学生時代からあこがれていた映画の世界にも活躍の場を広げ、2021年公開の「光を追いかけて」で監督デビューした。秋田市や井川町などで撮影。脚本も手掛け、多感な中学生たちの心の葛藤や成長を描いたファンタジー作品に仕上げた。海外の映画祭にも招待されるなど評価を受けており、成田さんは「私が秋田に帰るたびに感じていた思いを百パーセント込めて撮った。秋田の良さが全国に、世界に広がればいいなと思っている」と述べた。また、題材にした「光る物体とミステリーサークル」は、井川町に住むおじがかつて体験し、新聞やテレビ、雑誌などに取り上げられた「UFО目撃」をヒントにしたことなどを紹介した。

     2023年公開の「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は第47回日本アカデミー賞で監督賞、脚本賞など8部門で優秀賞を受賞し、翌年の興行収入は45億円に上ったヒット作。女子中学生が1945年にタイムスリップし、特攻隊員の青年と出会うという、汐見夏衛さんの恋愛小説が原作で、成田さんは「恋愛小説を映画化することにはじめは抵抗があったものの、原作を読んでみて、汐見さんが戦争に対してめちゃくちゃ怒っていることに共感。どんなことがあっても戦争をしちゃいけないという思いを込めて撮った」と述べた。CМを作ってきた経験から「小学生にも分かりやすく伝えることには自信があった。泣かせる映画を作ろうとしたのではなく、戦争をしてはいけないということを、ただ伝えたいと思った。結果として、それが人々の心に刺さった」と話した。

     現在、実現に向けて取り組んでいるのが、2018年夏の全国高校野球選手権大会で、秋田県勢としては103年ぶりに決勝に進出した金足農業高校の軌跡を題材にした「旋風」で、その狙いを紹介した。同校のグラウンド近くに住んでいた成田さんは子供のころ、一人居残り練習をしていた球児に頼まれてノックをしたり、その後で一緒にコーラを飲んだりした思い出を披露。「その身近な公立高校野球部が、地元出身者だけでチーム編成して決勝まで進んだ快進撃は大きな話題となり、テレビの視聴率は昭和の紅白歌合戦並みの60%を超えた。準優勝メンバーを取材すると、彼らには、人々が忘れかけている“がむしゃら”さがあり、それを伝えたいと思った。彼らから勇気をもらった人は多く、今回は花火師になる夢をあきらめていた農家の男性を登場させて、球児と並行して物語を進めていく」などと構想を語った。

     現在、クラウドファンディングで資金を集めており6月26日時点で1500万円に達し、最終目標の4000万円に向けて広く支援を呼び掛けている。「旋風」の構想を映画会社に持ち込んだものの、「原作がない」ことなどを理由にためらっているため、自ら「旋風」の小説を書き、近く出版されるという。「原作はできたので、あとはパイロット版でアピールしたい。パイロット版のエンドロールには支援者の名前が記されるので、どうか名前を刻み、『この映画は私が撮らせた』と自慢してほしい。みんなで一緒に作る映画にしたい」と述べた。

     講演に先立って、講演会を企画した人づくり委員会の後藤敬太委員長が挨拶。会員50人が聴講した。

    第1回会員例会
    第1回会員例会
    PAGE TOP