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  • 新規就農促す仕組みづくり急務/涌井氏が講演   涌井氏の構想、米国では100年前から運用/須原氏が講演

    第2回会員例会
    講演する涌井徹氏

     秋田経済同友会は9月8日、秋田市の秋田キャッスルホテルで2026年度第2回会員例会を開いた。当会常任幹事で大潟村あきたこまち生産者協会会長の涌井徹氏と、立命館大学経営学部客員教授の須原誠氏が講演した。農業従事者が急速に減っていることに関して涌井氏は「新規就農を促す仕組みづくりが急務だ」と述べた。米国の農業政策に詳しい須原氏は「涌井氏が提唱している構想は、アイオア州では100年前から運用されていた。日本では急進的な提案に映るかもしれないが、むしろ標準的な制度設計といえる」と解説した。

     はじめに涌井氏が「国民食糧の安定供給に向けて」と題して講演。コメの価格がここ数年、在庫量の増減に伴って不安定な動きを続けている現状について触れ、「短期的な問題としてだけ注目されていることが心配だ」と憂えた。農業従事者が急速に減少し、国民の食糧が安定供給されなくなる事態が目前に迫っていることを挙げ、これを回避するためには「農地や農業機械を借りやすくして若者がノーリスクで新規就農できる仕組みづくりが必要」と指摘。農業従事者に代わってリスクを取る主体が現れることが欠かせないとして「金融機関を中心に、あらゆる業界が結集し、日本農業を再生させなければならない」と訴えた。

    第2回会員例会
    講演する須原誠氏

     須原氏は秋田県民歌を引用し、「豊けき詩の国『秋田』をいざ拓(ひら)かん」と題して講演した。千葉県生まれの須原氏は、大学時代に知り合った湯沢市出身の友人を介して秋田の食に魅了されたという。アメリカや中国で20年以上暮らし、会計事務所や国際機関などに勤務した経験を持ち、現在は「青山学院大学SDGs/CE(循環型経済)パートナーシップ研究所」の特別研究員としてヘルスケア・ウエルネスツーリズム、食と医療を融合させた農業高次元化の研究に取り組んでいる。

     須原氏は「米国で、食事と医療を連動させた『МAHA(メイクアメリカ、ヘルシーアゲイン)政策』が始まるなど、新しい価値を求める農産物市場が世界各地に生まれつつある。秋田には、そうした需要に応えられる本物の食、素材の栄養価が高い食品が豊富にある。秋田の農業を、健康と幸福を実現させる『医食同源のウエルネスアグリビジネス』へ変化させよう」と提案した。

     また、涌井氏の講演に関連し、日本国内で新規就農者が現れにくい理由に言及。「米国アイオワ州では農地の賃貸借や資金の調達、農業技術の習得、販路確保が、地域金融機関を起点にパッケージ化されている。しかし、日本では、それぞれ窓口が異なり、統合パッケージがない」と分析した。涌井氏が提唱している、金融機関を核とした「日本農業再生機構」構想に関しては「日本では急進的に映るかもしれないが、アイオワと比較すると、むしろ標準的な設計。アイオワでは1世紀にわたって運用されてきた制度だ」と述べた。

     その上で、日本の農業金融の空白は「(農地法の制約などから)農地が担保になりにくく、新規の担い手へ長期資金が届かないことから生じている」と指摘。今後は「土地を担保に個人に融資するのではなく、生産に共同参画する実需企業(県外の飲食店など)を中心にしたネットワークに与信を付ける発想が必要になるのではないか」と展望した。

     講演に先立って、講演会を企画した産業にぎわい委員会の小畑宏介委員長が挨拶。会員ら50人が聴講した。

    第2回会員例会
    講演に耳を傾ける会員たち
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