秋田経済同友会は9月28日、能代市の宴会場シャトー赤坂で「能代地域懇談会」を開いた。秋田市に偏りがちだった会員と活動を県全域に広げるのが目的。これまで由利本荘市と湯沢市で開催しており、県北では初めて開いた。佐川博之代表幹事が当会の活動内容を紹介した後、伊藤新代表幹事と平野久貴代表幹事が県内経済事情をテーマに話題提供。能代市と近郊の企業経営者14人を迎え、活発に意見交換した。当会会員を含め、計24人が参加した。


伊藤代表幹事(フィデアホールディングス会長)は「秋田県経済の足元と県内企業の課題」と題して話した。前日に発表された日銀秋田支店の県内金融経済概況やフィデア情報総研の調査を基に景況感や雇用情勢などに言及。「県内景気は、一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している」と23カ月連続で判断を据え置いたことを紹介した。景気が「良い」と答えた割合から「悪い」を差し引いたDI値に関しては、日銀が6月に144社に聞いたところ、「マイナス2」だったが、フィデア情報総研が8月に292社を対象に聞いたところ、「マイナス12」で、10ポイント乖離していることを紹介。規模の小さい企業を含めて調査対象を増やすと、数値は悪化する傾向にあることを指摘し、統計・調査の読み方をアドバイスした。また、AI(人工知能)関連の活発な需要は県内製造業にも波及している半面、住宅着工は、人口減少と原材料価格の上昇によって構造的に縮小していることも紹介した。雇用に関しては「先行きの不透明感から、企業の採用活動は慎重になっている。今後、人口減少が進むことによる需要の変化と人手不足による供給面の制約の両方に注意を払っていく必要がある」と述べた。

平野代表幹事(ユナイテッド計画)は「地域資源とふるさとを考える」と題して話した。バイオマス発電事業に使っている木質チップを安定的に調達するために、本県の森林資源は重要な役割を果たしており、「林業界に安定した利益をもたらし、就労者の若返りなど地域の活性化につながっている」と述べた。また、現在、産学官でコンソーシアムを結成し、「SAF(航空燃料)製造事業」を次の森林資源ビジネスに育てようと取り組んでいることを紹介。地域の資源に新たな技術を組み合わせることによって「豊かなふるさとをつくることができる」と述べた。一方で、再生可能エネルギー関連施設の建設には巨額の投資が必要で、回収する前に技術革新や環境変化によって「座礁資産」となる恐れがある点を課題に挙げ、「事業者だけではコントロールできない『為替』『インフレ』『地政学』などのリスク・変化は、国が『制度設計』に織り込む必要がある」と指摘した。
出席者からは「経団連や日商と経済同友会の違いは何か」との質問があり、佐川代表幹事は「経済同友会は、経営者が個人の立場で参加しており、自由に発言できる点が特長」と回答。金利の動向に関する質問に関連して伊藤代表幹事は、バブル崩壊後の金融政策の変遷を解説した。制度設計の重要性を指摘した平野代表幹事の発言には「共感」を示す参加者がいた。
この後、懇親会に移行。はじめに能代市が創業の地である中田建設の中田光副社長が、地元「喜久水酒造」の再興にかけた思いを披露した。引き続き、能代市などで福祉事業を展開する南川彰宏常任幹事が乾杯の発声をして開宴。参加者は、喜久水を味わいながら、にぎやかに懇親した。最後に、懇談会の開催に携わった能代電設工業の山田雄太社長が中締めをして会を閉じた。
