活動・お知らせ

  • 会員例会
  • 道路整備促進委員会
  • 観光や物流、雇用に広がる期待/第6回会員例会、田中道路調査官が講演

     本年度の第6回会員例会が9月6日、秋田ビューホテルで開かれ、会員24人(代理を含む)が出席した。国土交通省東北整備局道路調査官の田中誠柳氏が「道づくりと広がる可能性」と題して、東北・秋田の特徴と魅力、道づくりの効果、今後の可能性などについて語った。
     初めに主管した道路整備促進委員会の伊藤久一委員長が「8月22日に新潟市で行われた日沿道建設促進フォーラムに出席した。この運動はいつまで続くのかと思うとともに、新潟まで5時間もかかり、高速道はつながってこそ意味があることを実感した」とあいさつ。引き続き、田中調査官が講演した。主な内容は以下の通り。

    講演する田中誠柳氏

    ⅰ.東北・秋田の特徴と魅力
     ▽広大な面積と地理的優位性▽太平洋側と内陸と日本海側の分断▽高齢化の急速な進展と衰退する農山漁村▽特色のある多様な伝統文化▽雪害と定期的な災害の襲来-などを、東北・秋田の特徴と魅力として挙げることができる。
     具体的には、東北は国土面積の約2割を占め、日本海と太平洋の二面活用が可能だ。半面、山脈により太平洋側、内陸および日本海側に分断されることで人口が拡散している。既に人口は減少傾向にあり、今後も人口減少および高齢化は急速に進む。竿燈まつりをはじめとする伝統ある祭りや、秋田犬などキラーコンテンツが豊富。ただし、豪雪地帯が多く冬季における通行不能区間が多いうえ、東日本大震災など定期的に多くの災害が発生している。

    ⅱ.東北・秋田の道づくり
     東北の格子状骨格道路ネットワークは東北縦貫自動車道など4つの南北縦貫軸と、東北縦貫自動車道・釜石秋田線など7つの東西横断軸から構成され、高規格道路網を整備している。仙台からの時間距離は平成22年には常磐道や三陸沿岸道路が全線開通していなかったため時間図が肥大化していたが、全線開通が予定される令和12年には時間図が正縮尺に近い状態になる。

    ⅲ.道づくりの効果
     大館市では日沿道の開通・延伸、横手市では横手インターチェンジを中心に高速ネットワークが形成されたことが、企業進出や新規雇用を後押ししている。また、高速ネットワークの進展に伴い、北秋田市では野菜の物流が効率化しているほか、クルーズ船の寄港が増加している秋田港から由利本荘地域や角館方面へのツアーが催行されるなど観光振興にも効果が出ている。
     さらに、にかほ市は二次、三次救急医療施設がなく、救急搬送の95%が由利本荘市へ、重篤患者は秋田市や山形県酒田市の医療施設に搬送している。日沿道を使用することで患者への負担が軽減され、救急搬送の迅速性・安定性を確保している。

    ⅳ.今後の可能性
     山形県境部のミッシングリンクの解消や地域高規格道路を整備することによりアクセスが向上し、広域観光周遊ルートを作ることにもつながり、インバウンド観光への効果が期待できる。また、横手市では高速ネットワークの延伸による通勤圏の拡大で、県域を越えた広域エリアからの採用も可能になり、人材確保につながる。
     一方、上小阿仁村など高齢化が進行する中山間地域では、「道の駅」などを拠点とした自動運転サービスを実験しており、米や野菜、灯油などを輸送するビジネスモデルを探っている。

    ⅴ.提案(道づくり活用モデル)
     仙北市では生産年齢人口が激減し、高齢社会に対応した交通の確保、山間地域の特性に応じた物流の効率化が課題となっている。デマンド型交通システムに向けて予約・配車システムの実証実験を行っているほか、ドローンやAIの活用による生産性向上・物流の効率化を図っている。
     また、青森港や秋田港、能代港、酒田港などに国内外のクルーズ船が入港している。交通ネットワークの進展により観光資源へのアクセスエリアが拡大し、県際地域の広域観光が可能になる。90分圏域の拡大は新たな周遊観光につながる。
     東北縦貫自動車道では通行止めが多く広域迂回が強いられていたが、盛岡秋田道路・大曲鷹巣西道路を整備することで、迂回所要時間が短縮され、円滑な物流への支援が期待される。また、国道105号沿線は豪雪地帯。大覚野峠区間のトンネル新設計画が進めば、災害時の迂回時間・距離を短縮する路線としての活用が期待される。

    会員24人が出席した第6回会員例会

    ※参考
     田中誠柳(たなかせいりゅう)氏
     大仙市(旧仙南村)出身。昭和58年4月、建設省採用。平成21年4月、東北地方整備局仙台河川国道事務所道路管理第二課長、27年4月、国土交通省道路局環境安全課長補佐、29年4月、東北地方整備局三陸国道事務所長を経て、31年4月、国土交通省東北整備局道路調査官。

    PAGE TOP